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「20年、その向こうに-」

公益財団法人北海道演劇財団

理事長 秋山 孝二

おかげさまで今年、公益財団法人北海道演劇財団は4月に設立20周年を迎え、また、私どもが運営する小劇場シアターZOOは、2月に15周年を迎えました。この間、皆さま方から多大なお力添えとお励ましを頂き、関係者一同、心から御礼申し上げます。

 

この節目の時に、私たちは3月に、旧事務所から20歩程ではありますが、同じフロアー内の表通りに面した明るい場所に移転いたしました。中島公園の美しい四季を臨みながら、気持を新たに北海道の演劇振興に邁進する所存です。

 さて、これまでの足跡を簡単に振り返ってみると、1996年設立、付属演劇集団TPSを設置し、2001年に劇団化してさらに活発に公演等をして参りました。2005年には初めての海外公演を成功裏に終えて、その後もほぼ毎年、外国での公演を続けています。

 一方、地元においては演劇のすそ野を広げ、支えていく仕組みとして、2006年に「札幌劇場連絡会」を結成し、札幌市と協力して「TGR札幌劇場祭」が実現しました。以降、毎年11月に1ヶ月間、若い劇団の登竜門としても積極的な参加により、現在は札幌市内9劇場で開催され、各劇場の個性も定着し、幅広いお客様のご来場にも結び付いてきています。

 2009年には、「演劇創造都市札幌プロジェクト」を立ち上げ、2012年からは、「札幌演劇シーズン」として、毎年冬・夏に各1ヶ月、再演作品の公演が実現しています。本州からお越しになる方も含めて着実に観客数は増え、それを支える周辺の方々、企業も充実してきて、これからも大いに期待が掛かるイベントに成長しています。

 2012年、TPSを「札幌座」に機構改革し、専属メンバーだけでなく、札幌で活躍するプロを目指す演劇人に協働の活躍の場を提供し始めました。


ここ20年で、札幌の演劇状況は大きく進化し、「TGR札幌劇場祭」、「札幌演劇シーズン」は、全国からも注目を集めています。

 昨年、当財団は、「北海道文化奨励賞」の栄誉に輝きました。その受賞理由に、『全国でも数少ない市民参加型の財団法人、「札幌座」による演劇創造、次世代を担う演劇人育成ワークショップ、小中学校のコミュニケーション事業等を通じて、鑑賞機会の提供など多様な作品を道民に届け、さらに、市民による活動を取り入れた演劇によるまちづくりに取り組む等、演劇創造をリードする公益法人として今後も活躍が期待され、本道における演劇文化の普及と発展に大きく寄与している』とあり、これまで関わってきた私どもに大きな勇気と励ましを頂きました。

 さらに、11月に開催された「TGR札幌劇場祭2015」では、前年に大賞を受賞した韓国(ソウル)のプロジェクト・アイランド『アイランド-監獄島』の再演が実現し大盛況だったのに加え、ロシア(サハリン)からの招へい公演、チェーホフ劇場『素晴らしい未来』が大賞を受賞しました。
 

 以上、この20年、事業が着実に発展していく一方、当財団は2012年に「公益財団法人」の認定を受けました。私たちが尽力してきた「演劇振興」が、北海道の地域振興の一助として「公益活動」と認定されたことは、北海道の演劇界にとっても大変意義の深いことだと思っています。


 3月末で、設立時から多大な貢献をしてきた平田修二常務理事、新堂猛事業統括部長が退任し、4月からは斎藤歩理事が本拠を札幌に移し、常務理事として、20年以降の当財団のかじ取りを担っております。どうかこれまでのご厚情を新しい体制に対しても引き続き宜しくお願い申し上げます。

 また、今年2月のさっぽろ雪まつりでは、大通西5丁目環境広場にて、1610年に完成したシェイクスピアのロマンス劇「冬物語」を脚色し、31回もの上演を行い好評でした。夕暮れから夜にかけて、野外ならではの自然に変化する背景は、とても幻想的でした。

 

大雪像をステージに15分間上演する『さっぽろ冬物語』の脚色・演出を手掛けたのは、札幌座チーフディレクターの斎藤歩で、「札幌演劇シーズン2016-冬」参加公演「亀、もしくは…」(会場:札幌市教育文化会館)と同時開催という新たなチャレンジを、寒空の下、全員で見事に成し遂げました。

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